「ユニコーン企業のひみつ」を読んだ
「ユニコーン企業のひみつ」はアジャイルサムライの著者がSpotifyに転職しての経験談がまとめられている本だ。
中にはSpotify流のかなり尖った組織の作り方が書いてあって非常に興味深かった。
特に「トライブ、チャプター、ギルド」の新しい組織編成にはかなり刺激を受けた。
この本の中で記載されている内容よりも現在はさらに変わっているそうだが、この本に書いてある内容だけでもかなり自分にはしっくりきた。
トライブはスクワッドと呼ばれる意思決定ができる最小単位の実行体をそれぞれに与えられているミッションでひとまとめにしたものである。
トライブはミニ企業のようなものであるという記載もあるが、古典的な日本企業で無理やり例えると、スクワッドは事業部(職務横断でフルスタック)で、トライブは企業にあたると思う。
これは分け方の問題でどの企業でも何かしらの形で顕在化すると思う(そもそも前提となるスクワッドのような少人数の職務横断型のチームにお目にかかる事自体がなかなかないけど)
自分が一番良いと思ったのはチャプターだ。
チャプターは職務横断型のチームの集まりであるトライブを横に切るようなものだ。
例えばチームA、チームB、チームCが1つのトライブに入っており、各チームはデータサイエンティスト、デザイナー、Webエンジニアのような構成だったとする。
基本的に各チームを監督し評価するのは各チームのプロダクトオーナーであり、各人の評価などもそれが担う。
しかしチャプターという概念はチームA、チームB、チームCを専門領域で横に区切り、チームABCのデータサイエンティスト、チームABCのデザイナー、チームABCのWebエンジニアといった形にする。
これによってチャプターリードと呼ばれるマネージャーポジションがチームの垣根を超えて担当ロールごとに評価や助言を行える。
小さな組織の中でも餅は餅屋というところを突き詰めることができるのだ。
特に今は自分も少人数のチームで各人がマルチロールで様々な領域を兼任しているような環境にいるなかで、セールス兼プロダクトオーナーの上司にプロダクト企画兼研究開発兼データ分析兼デザインといったロールの評価を正しく行ってもらうのにかなり疲弊している。
特に開発系のタスクやデザインワークについての経験や知識がない上司にそれを正しく評価すること自体が無理なのだ。
プロダクト企画などを含む基本的な評価、および最終的な評価はセールス兼プロダクトオーナーの上司が実施すべきだと思うが、開発系のタスクやデザインワークについてはその道のマネジメント権限がある現場の人間に正しく評価してほしい。
このチャプターという概念さえあれば、複数のチャプターリードがマルチロール化している人の担当領域ごとに細分化した正しい評価を出せる。
まぁそもそも弊チームないし弊社には社員のきっちりしたデザイナーというものが存在しないので評価するひとがいないんだけど。
ただ自分の何気ない違和感がちゃんと顕在化していて、それを解決するアプローチまで出ていたことには自分の感度にすこし自身が持てた。
変だなと思うことは世間的にも変だし、イケてる組織では是正するための取り組みがある。
今回の学びはやっぱり餅は餅屋ということ。